男のバッグ

 40代男性の理想のバッグとは何か? この問いは意外と深く、難しい。

 聞くところによると、欧米、特にアメリカ人の男性は手ぶらが理想、バッグを持つなんていう女々しい行為はなるべく避けるのだそうだ。

 男が外出するときは、少しの現金とカード、スマホ、鍵をポケットにつっこむ。それだけ。

 荷物が多くなるときもできるだけバッグは使わず手に持つ。それでもどうしても必要なときは、なるべく男らしいバッグを持つ。これがリュックなんだそうだが。

 そう言われてみれば、パパラッチが撮影したハリウッドセレブの写真なんかを見ても、ほとんどの人が手ぶら。バッグを持っているのは空港なんかで撮られた際の、旅行用の大きなボストンバッグ類である場合が多い。

 トートバッグやエコバッグ、また小さいショルダーバッグなんかは特に忌み嫌われるらしい。女性が持つ小さなバッグは「purse」と呼ばれるが、男がそんなバッグを持つと「mens purse」略して「murse」と言って、バカにされるのが落ちだとか。

 試しにmurseでググルと、いかにも「ダサいでしょ」という例として、バッグを持った男たちの画像がヒットする。

 そしてそんなアメリカ人が日本に来てびっくりするのが、多くの男たちが堂々と「murse」を持って歩いていることなのだそうだ。この光景を見ると、日本人の男はみんなオカマか、と思うらしい。

 まあ、いかにもマッチョ文化、そしてカバンを持たなくても車に荷物を置いておけばことがすむ車社会のアメリカらしい話で、ヨーロッパなんかは日本と近い国もあるようだけど、まあ、そんなこんなで男のバッグって難しいのである。

 かくいう僕も、なんかバッグを持ち歩くのに弱冠の抵抗がある。確かに、バッグを持っているより手ぶらの方が、かっこいい気がするのだ。

 だから最近は、仕事のときはしょうがないけど休みの日は財布、iPhone、鍵、kindle voyageだけポケットに入れ、手ぶらで出発。

 でもね、なかなか難しいんですよ。これから花粉症の時期になると、アレルギー薬や予備のマスク、ティッシュなんかも持たなければならないし、子どもと一緒のときには子どもの上着や着替え、タオルも持たないといけないし。夏になるとポケットの数が少なくなるし。